合同会社における持分の払戻しとみなし配当

合同会社
【持分の払戻し】
『持分の払戻し』とは、合同会社を退社した社員が、資本金・資本剰余金及び利益剰余金の持分相当額の払戻しを受けること

※払戻金額は『退社時自己資本の額の内、出資割合に対応する金額』
※『払戻額>払戻日剰余金額』の場合、債権者が異議を述べられる
※『出資の価額』の減少の定款変更が必要
※資本金の額が減少する場合は変更登記が必要
※利益剰余金部分の払戻しは『みなし配当』となる

合同会社を退社した社員は、『持分の払戻し』を受けることができます。

払戻金額の算定は、退社時における合同会社の財産の状況に従って行われます。

具体的には、退社時点の合同会社の自己資本の額の内、退社した社員の出資割合に対応する金額が、払い戻されます。

そのため、払戻し金額は出資以降の累積利益額を含み、実質的な”時価”での払戻しとなります。

ただし、持分払戻額が、払戻し日における合同会社の剰余金額をける場合、合同会社の債権者は異議を述べることができます。

この債権者保護手続きをしないで持分の払戻しが行われた場合、払戻しを執行した社員は、払戻しを受けた社員と連帯して、払戻された持分相当額を会社に支払わなければなりません。

出資の払戻しをする際は、定款を変更してその社員の『出資の価額』の記載を修正しなければなりません。

さらに、払戻しに伴い『資本金の額』が減少する場合は、資本金の額の変更登記が必要です。

【みなし配当】
社員への持分の払戻しの内、『資本金等の額』の持分相当額を超える部分(=利益剰余金の持分相当額)については『みなし配当』となる

みなし配当額=払戻額-資本金等の額の持分相当額

■合同会社側の手続き
①払戻し時
みなし配当部分の源泉徴収額を控除した金額で、社員へ払戻金を支払

②払戻の翌月10日迄
国に対して源泉徴収税の支払

■退社した社員側の手続き
①みなし配当部分
配当所得として確定申告

②払戻額
譲渡所得として確定申告
譲渡所得額=(払戻し総額-みなし配当額)-清算された出資金額

社員への持分の払戻しの内、『資本金等の額』の持分相当額を超える部分は『みなし配当』として、通常の配当と同様の手続きが必要となります。

『みなし配当』とされた部分については、合同会社で源泉徴収税を控除した払戻額を、社員に支払います。

源泉徴収した税金は、源泉徴収した翌月10日までに国に納付します。

持分の払戻しを受けた社員においては、『みなし配当』とされた部分は『配当所得』となります。

『みなし配当』と判定された部分以外については、『譲渡所得』となります。

『譲渡所得』の所得額は、『譲渡収入-(取得費用+譲渡費用)』で算定します。

この計算における『譲渡収入』は、『払戻し額-みなし配当額』で算定します。

持分の払戻しの具体例については、以下をご参照下さい。

【具体例】
合同会社A
・Xが50万円、Yが50万円を金銭出資
 ⇒資本金合計100万円
・X退社時の利益剰余金額は100万円

≪Xが退社し100万円の持分の払戻しを行った場合の取扱≫
①みなし配当額=払戻し額100万円-資本金等の持分相当額50万円
 =50万円

②Xの配当所得=みなし配当額50万円

③Xの譲渡所得=(払戻し額100万円-みなし配当額50万円)-出資金額50万円
 =0万円